童貞よ精子を抱け

Boys be Sid Vicious

見知らぬおっさん女子高生。今だから言える。「ごめんなさい」


僕は奇妙な習性があったりして。


1回気になることは、どうしても気になったりする。



高校時代。
顔のあぶらがどうしても気になってしまう癖があり。
僕は、朝学校に着いたら顔を洗うのが習性だった。



学校に着いての朝一番。
顔を洗わないと始まらない。
「今日は良くさぼらずに着たもんだ。遅刻もせずに」


まあ、そんな気分と共に顔を洗う。
それが一日の始まりだった。




例に漏れず、朝は超弩級の満員電車に揺られながら、学校に向かっていたある日のことだった。


乗換駅で、電車を降りた瞬間。
僕の前に立っていた、女子高生が号泣し始めた。



「なんだ?」

突然の事態に驚いたが。
様子を伺っていると。
どうも、その女子高生の制服に「精子と思われるような」白濁の物体がついていたのだ。


その号泣している女子高生は、連れの友達に
「いやー汚い。どうにかして」
などと、泣いているが。
連れの友達も「キャーキャー」言っていて話しにならない。



僕も男の子だから、まあ取ってあげようかと言おうとも思ったが。
左程僕の好みではなかったので、ちょっと悩んでいた。


その泣いている子は、友達に
「あの、目の前にいた変なおっさんが犯人だ」
と言っている。
確かに、ちょっと変なおっさんがいた。
うーん犯人はあのおっさんか。


僕もそう思っていた。



取ってあげるか取ってあげないか?しばし悩むついでに。
取ってあげるティッシュペーパーでも探すかと。
思って、自分のかばんを見ると。


僕のかばんにも「白濁の物体」が付いていたのだ。
しかし良く見ても。
人間の精子とは考えられないような、尋常ではない量なのだ。


不安は的中した。
朝、学校についてすぐに顔を洗えるように。
と、サイドポケットに入れていた、僕の洗顔石鹸「ビオレ」ちゃんが。
爆発してたのだ。



これはいかん。
あの女子高生の「白濁の物体」も、おっさんの精子ではなく。
僕のビオレちゃんである可能性が高いではないか。



悩むこと数秒。
ぼくはかばんを抱えるように、その場を後にした。




見知らぬおっさん女子高生。今だから言える。「ごめんなさい」